ライターになるのはとても簡単です。ライターの名刺を作って、「ライターです」と名乗って、仕事を探せばいいだけ。今ならランサーズとかクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスや、ココナラなどのスキルシェアサービスなどを使えば比較的簡単に仕事は探せるでしょう。
ただし、このやり方でライターになると、比較的早めの段階で、下手すると案件探しの段階で「壁」にぶち当たります。
それは「私って、何が書けるんだろう?」という問題。つまり、専門ジャンル問題です。
専門ジャンルがなくともライターにはなれる
結論からいうと、専門ジャンルかなくてもライターにはなれます。というか、私がそうでした。
私がライターになったきっかけ
私がライターになったきっかけは、ウィン・アンド・ウィンネットという会社(現・株式会社グリーゼ)のマーケティングライター養成講座を受講したことでした(現在、グリーゼではこのような講座はもう開講していません)。
マーケティングライターというのは、マーケティングの知識を持っているライターのことです。具体的には、ECサイトのメールマガジンなどを書いて、売上アップに貢献できるライターの要請を目的として開講された講座でした。
初級編でごくごく基本的なマーケティングライティングの知識を学び、プロ編で実際のEC店舗の店長に取材しメールマガジンを書き、そのままメールマガジンのライターとして仕事を始めた、という流れです。
学んだのはテクニックだけ。専門知識はないままライターに
振り返ってみると、私が最初に学んだのはライティングの基礎や取材の基礎などのテクニックだけでした。
特定のジャンルについて学ぶことはなく、担当したECサイトの商材のジャンルに合わせて付け焼き刃で知識を付けたことを覚えています。
つまり、得意ジャンル、専門ジャンルといえるようなジャンルを持たないまま私はライターになったんですね。
だから少なくとも「得意ジャンルや専門ジャンルがなくともライターにはなれる」というのは確かです。
この「得意ジャンル、専門ジャンルを持たないままライターになった」ことは、長く私を苦しめることになります。
専門ジャンルがなくともなんとかなる場合
専門ジャンルがなくともなんとかなる場合は、ライティングをしていると結構あります。
今の私の仕事で例えるならば、コーポレートサイトのライティングが代表的かもしれません。
もちろんどういう業界か、同業他社はどういうことをサイトで訴求しているか、その企業はどういうことをサイトで訴求したいのかなどを事前にリサーチする必要はあります。
しかし、あまり詳しくない業界、ジャンルであってもなんとかなることがほとんどです。実際私が担当したコーポレートサイトも、ペット葬祭、宿泊施設、人材育生、伝統工芸、ものづくり、人材採用、教育機関など多岐に渡ります。
インタビュー取材も、テーマによっては得意ジャンルがなくてもなんとかなることがあります。インタビュイーに対する事前リサーチをしっかりしておけば対応できる取材は少なくありません。たとえばビジネスパーソンにその人のパーソナルストーリーを聞くようなものであれば、十分対応できるでしょう。
ただし、ビジネスパーソンにその人の手がけている仕事などをインタビューする場合は、その仕事や業界に関する深い知識がないといけない場合がありますので、ここはケースバイケースです。
>> 具体的な取材の段取りについてはこちらの記事にまとめています
専門ジャンルがないとどうしようもない場合
逆に、専門ジャンルがないとどうしようもない場合はどのようなケースでしょうか。今までの私の経験から考えてみます。
権威性を求められる記事を書きたい場合
権威性が求められる記事を書きたい場合は、専門ジャンルがないとどうしようもありません。
SEOでいうところのYMYL、つまりお金や健康などに関連した記事が代表的でしょう。どこの誰が書いたかわからない記事より、ファイナンシャルプランナーなどの資格を持っていて詳しい知識がある人のほうが、クライアントも依頼しやすくなります。
専門性が高い記事を書きたい場合
専門性が高い記事を書きたい場合も当然、専門ジャンルがないとどうしようもありません(なんか小泉構文みたいな文章になってしまいました)。
たとえば私は、鉄道好きなので鉄道系の記事をいくつか書いています。しかし、私の鉄道知識はかなり限られているので、報道公開などに足を運んでレポートするのがせいぜいです。
ここでたとえば、列車の発展の歴史について書きたいとか、ローカル路線の現状についての記事を書きたいとかなれば、少し突っ込んだ知識が必要です。付け焼き刃で調べて書くことはできますが、まあだいたいそういう話はすでに好事家がブログなどで書いている可能性が高いでしょう。
さすがライター、と言われるような記事を書きたいなら、普段からそのジャンルを学んで、自分なりの視点などを持っておく必要があります。
専門ジャンルを作るには?
では、専門ジャンルを作るにはどうすればいいか。方法は2つあります。
自分の「好き」「興味・関心」を突き詰める
まずはオーソドックスに、自分の「好き」「興味・関心」をつきつめていく方法です。
「好き」「興味・関心」はなんでも大丈夫です。趣味でも構いません。それを突き詰めていけば、自然と専門ジャンルができてきます。
たとえば私の場合、鉄道系がこれにあたります。まあ言っても私より詳しい人は数多いますし、私のレベルなんかはもう恥ずかしいくらい下なのですが、好きだから一般的な方よりは少しは詳しいかな、というレベルではあると思います。
「好き」「興味・関心」を突き詰めていくと、最終的には自分の本を出す、講座を持つなど、ライティング以外に仕事の幅が広がることもあります。SNSなどを見ていると結構いますよね、こういう人。
仕事の経験を積み重ねていく
もうひとつは、仕事の経験を積み重ねていく方法です。
特に専門ジャンルがないと思っていても「なんとなく書けそう」なジャンルなら誰にでもあると思います。そのようなジャンルを中心的に仕事として受けているうちに、やがて専門ジャンルといって差し支えない程度の知識がついてくる、というパターンです。
私の場合、ドライブがそうかもしれません。ドライブ系の案件を2年ほどしているのですが、ドライブスポットやドライブにあったらいいものなどに少し詳しくなりました。とはいえ、あくまで「少し」なので、まだまだ専門ジャンルとは言いにくいと自分では考えています。
専門ジャンルはなくてもいいけど、あれば有利
さて、まとめます。
専門ジャンルはなくともライターにはなれます。しかし、専門ジャンルがあれば、専門性や権威性が高い仕事が得やすくなるでしょう。仕事にも有利に働く可能性は十分あるため、持っておくのに越したことはありません。
専門ジャンルは「好き」「興味・関心」を突き詰めたり、あるいは仕事を積み上げていくことである程度作ることができます。ライターになった当初は専門ジャンルがない状態であっても、心の片隅にこういうことを意識しておけば、いつかはきっと専門ジャンルができるはず。仕事の幅も広がるので、作っておいたほうがいいと思います。