取材のやり方を再度見直しています

取材のやり方を再度見直しています

月イチで名古屋の取材道場に通っているという話を以前ブログに書きました。

7月の講座は19日にあったのですが、ちょっとわけあってこれはお休み(補講をしていただけるそうです。ありがたや)。

とはいえ、6月の講座の段階でとても学びが多かったので、簡単にブログにまとめておこうと思います。

事前準備は基本中の基本

取材のやりかた

当たり前すぎる話なのですが、事前準備はやはり基本中の基本です。スケジュールが詰まっているとここに今ひとつ手が回らないことがあるのですが、やっぱりそれはいけません。いかに深く、広く準備ができるかが、取材の成否を決めるといってもいいでしょう。

たとえばお店の取材をするときは、そのお店と店主さんはもちろん、おもだった同業他社さんやライバル店についても調べておく。なにかのこだわりを持っているお店であれば、そのこだわりについても調べておく……

当たり前といえば当たり前なんですけどね。

面白いもので、準備の段階では、思っている以上に、自分の経験が役立つことがあります。

あえて海外産にこだわっていた食品メーカーの話

たとえば「地元産の野菜にこだわった料理を提供するお店」の取材があったとしましょう。以前、私はある食品メーカーの取材をしたことがあるのですが、アメリカ産・カナダ産をブレンドした大豆で大豆製品を使っていたんですね。

国産大豆にこだわった食品メーカーならよく聞きますが、海外産の大豆にこだわっている話はあまり聞きません。そこで「なぜ海外産の大豆のブレンドにこだわっているのですか?」と尋ねたところ

「国産大豆だと、時期によって品質の差がでます。海外産の大豆を季節に合わせてブレンドすることで、年間通して変わらない品質で作れるようにしています」

という言葉が返ってきたのです。

取材のやりかた

こういう話を知っていると、「地元産の野菜にこだわった」という話にも、取材で確認したいことが出てきます。

自分の経験もすべて「準備」になるのがライターの面白さ

このように、自分の経験もすべて「準備」のひとつになりえます。そのため、準備段階ではネットや本・雑誌を使ってのリサーチのほか、自分の記憶からも「何か役立つ知識や経験を持っていないか」と全力で探します。

人生に無駄なものはない。私はそう信じているのですが、このモットーを持つようになったのはライターとして長く仕事をしているせいかもしれません。さまざまな経験値がものをいう仕事だと思います。

取材スキルは「質問」に出る

取材のやりかた

事前準備ができれば、取材時の質問も半分できたようなものです。逆に言うと、質問がダメなときは事前準備が不足しているということです。

つまり、事前準備をきちんとできるライターであれば、取材時に的確な質問ができる、ということで……ライターの取材スキルは質問に出る、と考えてもいいかもしれません。

どのような質問をすればいいかは、取材のジャンルによって異なります。とはいえ、押さえておくべき基本的な質問はいくつかあります。

サービス/商品が生まれたきっかけ

まずは、そのサービス/商品が生まれたきっかけ。「開発秘話」みたいなものですね。ここから派生して、さきほどのような「こだわり」を聞くこともありますし、オーナーや開発者の「思い」を聞くこともあります。

また、サービス/商品がうまれたきっかけ、理由を聞くと、その背後にはオーナーや開発者の問題意識が見えてくることがあります。「地元産の野菜を使った飲食店」はその典型かもしれません。「なぜそこにこだわるのか」には、その人の哲学が潜んでいるものです。

サービス/商品をどんな人に使ってほしいか、楽しんでほしいか

どのような人をターゲットにしているかにも、そのお店や会社の個性が出ることがあります。

もちろん、サービス/商品を扱っている以上「ひとりでも多くの方に」とは思っているでしょう。しかしよく聞いてみると「自然を楽しんでほしい」「旬の美味しさを味わってほしい」「しっとり楽しみたい大人に」「小さなお子様連れでも気兼ねなく楽しめるように」などの言葉が出てくることがほとんどです。

この内容は、場合によっては直接原稿には盛り込まないかもしれません。しかし、どのような人をターゲットに想定しているかを念頭に置いておくと、文章が書きやすくなることはままあるものです。

「最後に、これだけは言っておきたいことはありますか?」

取材のやりかた

取材道場で教えてもらって、あっとなった質問がこれです。

相手の方も、取材に向けていろいろ準備をされています。あれを言おう、これを言おうと考えていたことがあるかもしれません。その中には、ライターが質問しなかったこともあるでしょう。

ですから最後に「こちらからの取材は以上ですが、何か言い残したこと、これだけは言っておきたいことなどはありますか?」と、自由に話してもらえるように水を向けることも大切。

取材先の方に自由に話してもらうことで始めて知ることができる情報も、あるものなのです。

かくして、取材のやり方を見直しつつあります

こうやってブログに書いてみると当たり前のことですが、その当たり前のことがおろそかになっていたワタクシ。これではいけないと、取材のやり方を見直しつつあります。

具体的には、事前準備やリサーチをより深く、広い範囲にわたって行うこと。そして、質問をしっかり練り上げること。

……言葉にすると当たり前すぎて恥ずかしいかぎりなのですが、その質を上げる努力を行っています。

実は今日からBitSummitというイベントの取材をしているのですが、そこでもこの見直しが奏功すればいいな、と思っています。

About This Author

鶴原早恵子
京都在住フリーライター。SEO記事から取材・インタビュー記事まで作成。取材可能範囲は関西中心に、全国・リモートも対応いたします。鉄道・お出かけ系記事の場合は写真も自分で撮影可能。鉄道好きなのに乗り物酔い体質なのが悩みのタネ。

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