インタビュー時、相手に何を質問すれば良い?質問票の作り方

インタビュー時、相手に何を質問すれば良い?質問票の作り方

インタビューをするときには、事前にどのような質問をすればいいか考えてまとめ、「質問票」として相手と共有します。

この「質問票」を作るときの手順や、どのような質問を盛り込めばいいかまとめました。

例によって例のごとく、私のメモを兼ねた記事なので「これが正解」というものではありませんが、インタビュー、取材初心者さんの参考になれば幸いです。

>> こちらの記事でも、インタビューの質問について書いています

質問票づくりステップ1 取材の目的を確認する

質問票づくりステップ1 取材の目的を確認する

まずは、取材の目的すなわち「誰に、何を伝えるための取材か」を確認します。ここをはっきりさせておかないと、質問内容が考えられません。

たとえば経営者に取材するとしても、顧客向けのコンテンツとリクルートコンテンツとでは、伝えるべきメッセージが異なります。

顧客向けのコンテンツは、その会社が何を考え、顧客のどのような課題をどう解決したいかといった内容を発信することになります。一方リクルートコンテンツであれば、どのような思いでどのような会社を作りたいか、どのような仲間を欲しているかといった内容を発信することになるでしょう。

質問票づくりステップ2 読者が知りたいことを考える

質問票づくりステップ2 読者が知りたいことを考える

取材の目的を確認したら、読者が知りたいことを考え、書き出します。書き出すのはデジタルでもアナログでもOK。私はデジタルを使うことが多いですが、悩んだときはアナログ、つまり手書きでノートにたくさん殴り書きをします。

今回は大きく、リクルート系記事と紹介記事の2つにわけていくつか質問を考えてみました。紹介記事はグルメから経営者インタビューまで結構広い範囲に応用できると思います。

リクルート(採用)記事の場合

リクルート(採用)記事の場合、読者は求職者。求職者が知りたいことはどのようなことかを考えます。「自分が求職者なら、どのようなことを知りたいか?」を考えるといいでしょう。

いくつか例を挙げてみます。

社員インタビューの場合:
・なぜこの会社を選んだのか
・入社前後で何かギャップはあったか
・どのような業務をしているのか
・どのような1日を過ごしているのか
・働きがいは
・社内の雰囲気は
・将来どのような仕事をしたいか
……など

人事担当者インタビューの場合:
・どのようなスキル・経験がある人を求めているのか
・研修制度、資格取得に対する補助の有無
・社内の雰囲気
・どのようなキャリアパスがあるか
……など

会社代表インタビューの場合:
・会社のミッションや経営理念
・将来の展望
・どのような人材を求めているのか
・創業者の場合は、創業した理由
……など

会社(お店)紹介記事の場合

会社やお店を紹介する場合、想定読者は掲載メディアによって異なります。一般的な雑誌やメディアの場合は、商品やサービスを紹介すればいいでしょう。経済系のメディアなどであれば、その商品やサービスにより会社や現場がどのように変化したかなどを紹介する必要があります。

社員インタビューの場合:
・会社(お店)の商品・サービスのポイント
・どのような商品・サービスが人気なのか
・どういった思いで商品・サービスを開発したのか
・商品・サービスに対するこだわり
・顧客からの反応はどうか
・これからどのように商品・サービスを展開していく予定か
・顧客へのメッセージ
……など、「現場目線」を中心にしたもの

会社(お店)代表インタビューの場合:
・会社の経営理念やミッション
・経営にあたって大切にしていること
・社員やスタッフに対する思い
・どのような思いで商品・サービスを提供しているのか
・商品・サービスを提供することで経営にどのような影響が出たか(売上など)
・今後の会社の展望
・顧客へのメッセージ
……など、「経営者目線」を中心にしたもの

導入事例(お客様の声)記事の場合

導入事例、つまりお客様の声を取材する場合は、導入によりどのようなポジティブな変化が起きたかを紹介しなければいけません。

社員インタビュー(現場スタッフ)の場合:
・導入前はどのような問題があったか
・導入後、その問題は解決されたか
・導入で現場にどのような変化が起きたか
・導入について、現場ではどのような反応が起きたか
・導入された商品・サービスの満足度
……など、その商品・サービスを実際に使っている人ならではの言葉を引き出せる質問

社員インタビュー(導入決定者)の場合:
・導入前の課題
・導入することに決めた理由
・導入後の変化
・担当者の対応
・商品・サービスの満足度
……など、その商品・サービスを選んだ理由や満足度がわかる質問

経営者インタビューの場合:
・会社のミッションや経営方針
・商品・サービスの導入が経営や会社の売上などに及ぼした影響
・これから会社をどう発展させていきたいか
……など。経営者は導入した商品・サービスについてはあまり知らないこともあるので、これからどう経営していきたいか、どう会社を成長させていきたいかという点にもスポット当てる

アイデアが出てこないときは?

質問のアイデアが出てこないときは、2つ方法があります。

すでに公開されている記事を参考にする

掲載メディアですでに公開されている記事などを参考に、インタビュイーがどんな話をしているか話を確認してみましょう。

だいたいどのような話を聞けばいいのか、そのためにどのような質問をすればいいかが見えてくるはずです。

AIに聞くのもあり

何を聞いたらいいのかどうしてもわからない場合は、ChatGPTやClaudeなどの生成AIに質問するのもありです。

「これこれこういうメディアに、こういう目的の記事を制作するためにこういう人にインタビューするのだけど、どんな質問をしたらいいと思いますか?」と聞いてみてください。経験上、それほど大きく外したアイデアは出てこないように思います。結構参考になりますよ。

インタビュイーの過去のインタビューもチェック!

インタビュイーによっては、過去に似たようなメディアでインタビューに応じているケースもあります。そのような記事も必ずチェック。

たとえば、脱サラして起業した人の記事を読んでいて「あれ、起業した話はよく出てくるけど脱サラした理由はあまり話していないかも」と思ったら、「起業の話はさらっと確認するだけで、脱サラを決めた契機や理由について聞いてみようかな」などの質問のヒントが得られるでしょう。

質問票づくりステップ3 具体的に質問を考える

質問票づくりステップ3 具体的に質問を考える

続いて、具体的に質問を考えて文章を作っていきます。このときに気をつけるポイントは以下のとおりです。

社員・スタッフには現場目線で、経営者や管理職には経営目線で質問する

たとえば、「社内の雰囲気はどうですか?」みたいな話は、社員やスタッフでないと答えにくいでしょう。逆に「今後どのように会社を成長させていきたいか?」という質問は経営者でないと答えられません。

「これからどうサービスを大きくさせていきたいですか?」という質問も、社員やスタッフに聞く場合は「どうやってお客様にもっと満足していただけるよう活用していきたいですか?」という話になりますし、経営者なら「類似サービスとどう差別化して、どのように普及させていきたいか」みたいな質問になるでしょう。

相手の目線で質問を考えることが必要です。

「なぜこれを聞きたいか」という意図を添える

質問するときには、必要に応じて「なぜこれを聞きたいか」という意図を添えたほうがいいケースがあります

たとえばリクルート記事の社員インタビューの場合、インタビューされる側は「なぜ自分のことをこんなに話さなければいけないのだろう?」と思うことがあるかもしれません。

そのようなときにひとこと「求職者の方に、御社に入社した後をより具体的にイメージしていただくために、どのような毎日を過ごしていらっしゃるか教えていただけますか?」というと、相手も納得します。

流れを意識して質問する順番を考える

取材の冒頭は、特に社員インタビューのときは双方緊張しています。そこで私は、最初はあまり緊張しなくても済むような基礎的な質問をすることがあります。

具体的には、所属部署やお名前の確認などですね。キャリア何年目ですか?とか、入社後、どのような業務を担当されてきたのですか?などですね。

そしてある程度リラックスできてから、突っ込んだ質問に入ります。

時系列も意識します。たとえば、今の話からどんどん過去の話に遡るとか、導入事例の話は導入前の話から導入後の話しへと時系列順に質問するとかですね。

相手が答えやすい、考えやすい流れになるように、質問する順番を組み立ておくと、双方やりやすくなります。

質問票づくりステップ4 質問票を作り共有する

質問票づくりステップ4 質問票を作り共有する

質問票の体裁を整えた文書を作り、相手と共有します

事前に共有する理由は、相手にも準備してもらうため。自分に置き換えたらわかるのですが、その場で質問されたことに適切な返事を返せるとは限りません。内容にはすっかり記憶から抜けていて答えられないこともあります。

事前にどのような話を聞かれるのか、大まかでいいのかわかっていたらこちらも心の準備ができます。記憶があいまいなところは確認できます。準備ができると、余裕を持ってインタビューにも臨めます。

だから、質問票を共有しておくことが必要なんですね。

用意する質問は5~10程度

質問は5~10程度用意します。あまり少ないと相手も不安になるし、多すぎても「こんなに聞かれるのか」と驚かれることがあるからです。

インタビュー時間によっても前後しますが、30~40分程度のインタビューなら、5~10程度質問を用意しておけばだいたい十分です。時間に余裕ができそうなときは、「さきほど伺ったお話をもう少し深く伺いたいのですが」などと深掘りすれば大丈夫。

質問票を共有する目安は1週間前

質問票の共有は、私は極力、取材1週間前には共有するようにしています。だいたい1週間もあれば相手も準備できるだろう、と考えてのことです。

とはいえ、急に決まったときなどは、1週間前になかなか送れないこともあります。その場合でも、極力メールなどで、早めに「こういうことを中心に聞きたいと思います」と大まかなテーマや質問内容を送るようにしています。

あとは当日、リラックスしてインタビューを!

質問票は、記事の目的を意識して、読者が知りたいであろうことをピックアップして、文書にまとめ、1週間前をめどに相手と共有すると当日の取材がうまくいきやすくなります。

About This Author

鶴原早恵子
京都在住フリーライター。SEO記事から取材・インタビュー記事まで作成。取材可能範囲は関西中心に、全国・リモートも対応いたします。鉄道・お出かけ系記事の場合は写真も自分で撮影可能。鉄道好きなのに乗り物酔い体質なのが悩みのタネ。

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