フリーライターとして開業届を出したとき、私は「コラボライト」という屋号をつけました。
普段はこの屋号を名乗ることはほとんどなく、屋号を決めた意味があったのかな?と思うことも多々あります。しかし、1つだけ大きなメリットがあります。「屋号口座を作れること」です。
今回のポイント
屋号口座のメリットとは?
屋号をつけておくと、屋号口座が作れます。……と、小泉構文のような言葉になってしまうのですが、屋号口座というのはけっこう重要です。
屋号口座=事業を営んでいる証明
私は開業届を提出した前後、女性起業家を支援するるコンサルタントのセミナーに参加しました(現在は女性起業家というよりは個人事業主の資金面でのコンサルティングへ軸足を移されているようなのであえてリンクは張りません)。
参加目的は、ひとつが自分自身の勉強のため、そしてもうひとつが経営者の考えていることや発想に少しでも触れたいということだったのですが、そこで言われたことが「個人事業主は屋号口座を持っておいたほうがいい」ということです。
というのが、toB案件の場合、企業からこちらに報酬を振り込んでもらうことになるわけですよね。企業にしてみれば、個人名の口座に振り込むより、屋号口座に振り込むほうが安心感があるのだそう。
もちろんこれはあくまでコンサルタントさんの意見に過ぎませんが、中小企業のコンサルティングも数多くされている方なので、感覚としてはそう間違ってはいないのだろうと思います。
屋号口座を開設するには、その屋号で事業を営んでいることを証明しなければいけません。少なくとも、開業届や前年度の確定申告書などを提出する必要があります。
どのような書類が必要かは銀行によって異なりますが、私の場合は「確かにライターだと証明できるもの、たとえば記名記事も一緒に出してください」と言われました。
ということは、屋号口座を持っているということは、銀行が「この人は確かに事業を行っている」と認めたことにもなるわけで、そりゃ確かにただの個人口座よりは信用度も高くなりますよね。
屋号口座を開設できる銀行は限られているので要注意
ただし、屋号口座を開設できる銀行は限られています。
屋号口座を開設したい銀行がある場合は、事前に屋号口座が開設できるか、開設できる場合は何を用意すべきか確認しておきましょう。
参考までに、私は三菱UFJ銀行とPayPay銀行に口座を持っています。店舗型のメガバンで作ったあと、店舗やATMまで行くのが面倒に感じられ、ネットバンクであるPayPay銀行にも作ったのですが、PayPay銀行で口座を開設したのちに三菱UFJのATMがあるエリアによく足を運ぶようになったので、今は三菱UFJをメインに使っています。
屋号口座のデメリット
屋号口座にデメリットはほとんどありません。が、ひとつだけ面倒だなと思うことがあります。
それは、確定申告の還付金の振込先に、屋号口座が指定できない(本人の氏名のみの口座しか指定できない)こと。
いやさ、青色申告で事業収入申告してるんだから、せめて屋号付き口座への還付くらい認めてほしいなー……とずっと思っています。
私は屋号付き口座を使って、家計と事業用資金を別個に管理しているのでちょっと面倒です。
ただし、屋号口座でなくともなんとかなる
ここで気をつけておきたいのが、フリーランスとして仕事をするにあたり、屋号口座はあればいいけどなくても問題ないということです。屋号口座がなければ仕事ができないということはありません。
前述のとおり、屋号口座を作るには手間がかかります。作れる銀行も限られています。はっきり言って面倒です。時間もかかります。
個人口座で活動しているフリーランスもたくさんいます。前述したように、確定申告の還付金振込などは個人口座でないとできないのでそのあたりは便利かもしれません。このあたりは自分で判断しましょう。
屋号をつけるときの注意点
では、屋号口座を開設するために屋号をつけたいと思ったら、何に注意したらいいのか。主な注意点は以下の3つです。
1. 商標権を侵さないものにする
商標権侵害になるような、つまり既存のサービスや商品と勘違いされやすい名前はつけてはいけません。
たとえば「記事制作屋ガンダム」とか「ポケモン文章作成所」とかですね。これはNGです。
2. 読みやすい、発音しやすい名前にする
実際その屋号を名乗るかどうかはさておき、名刺などには屋号も印刷することが多いです。ということは、ぱっと見て読みやすい、発音しやすい名前であったほうがいいでしょう。
いわゆるキラキラネームのような当て字も、度が過ぎたものは避けたほうがいいと思います。「私は書くことによって社会に光を与えたいから、”光与”と書いて”ライター”という屋号にしたい!」と思っても、再考をおすすめします。
ただし、当て字のセンスが良ければ、名刺交換のときのカンバセーションピースになる可能性はあるので、無理はしない程度に考えるのはありかもしれません。
3. 他とかぶらない名前にする
屋号を決める前に、実際にその屋号で検索してみてください。そして、もし他のお店や事務所・会社とかぶるのであれば避けたほうがベターです。
なぜなら、名詞交換した人などはあなたを屋号で検索するかもしれないからです。屋号で検索されたときにちゃんと自分のホームページやSNSにたどり着けるようにしておきましょう。
ただし、それでも後から同じ名前のお見せや屋号が出てきてしまうということがあります。私の屋号「コラボライト」は、この屋号をつけたときは同じ名前のものはありませんでした。しかし最近は、表記は違いますが同じ読みの韓国料理屋さんができたようで、屋号で検索するとそのページばかり出てくるようになりました。
おそらく検索ニーズとしては韓国料理屋さんのほうが高いだろうし、食べログなどにはなかなか勝てないでしょうが、まあこっちもコツコツSEO頑張ろうと思います。
屋号口座のメリットを知った上で判断すればよし!
ということで、今回の記事のまとめです。
- 屋号口座があることは「確かに事業を行っている」という証明になるため信頼感が得られやすくなる
- ただし、屋号口座を開設できる銀行は限られている
- 屋号口座の解説には手間と時間がかかる
- それでも屋号口座を開設したいなら、開業時に屋号をつくっておこう
屋号口座にはメリットもありますが、手間や時間がかかるというデメリットがあります。屋号を考えるのもちょっと大変です。このようなメリット・デメリットを検討した上で、屋号をつけるか判断するといいでしょう。