細々とブックライティングもしています。とはいえ、自分の本ではありません。ブックライター、一昔前は「ゴーストライター」と呼ばれたような仕事です。
今回はそんなブックライティングの話をつらつらとしようと思います。正直雑記に近いです。
また、上記のとおりいわゆる「ゴーストライター」の仕事についての解説であるため、自分の名前で本を出したいという方には役立つ情報はありません。ご注意ください。
私がブックライティングの仕事を得るまでの流れ
まずは、私がブックライティングの仕事を得るまでの流れを説明します。
最初はアプリ書籍
最初に本のようなものを書いたのはアプリ書籍でした。これは自分の名前で書いています。
それは約15年ほど前。まだXがTwitterと呼ばれていて、鳩山総理(当時)が使っているとかそういうことでブームになり始めた時代でした。「○○なう」とか「ヒウィッヒヒー」とかが流行った時代ですね。
この頃私もTwitterを使い始め、京都の方やライターを中心につながりを広げていました。
そこで知り合ったのが、株式会社おふぃす・ともともの高野朋美さん。
高野さん、現在は事務所を法人化して故郷の島根に戻っていますが、出会った当時はまだ個人事務所を大阪府八尾市に構えていらっしゃいました。
ふとしたことから高野さんと意気投合し、Twitterの運用事例を中心にしたアプリ書籍を書きました。これがおそらく最初の「書籍」ライティングです。もう配信もされていないので、この書籍については詳細を割愛します。
今なら「ひとまず自分の本をKindleで出してみる」というのもありかもしれません。ひとまずは「私は本を書ける」という実績と自信を持つこと、大事。
紙の書籍、最初は1章分だけを担当
アプリ書籍を出したあと、知り合いなどからちらほらと起業ストーリーをヒアリングして原稿にまとめるという仕事をしています。1冊丸々書くのではなく、数人の起業家ストーリーをまとめた本の1章分だけ、みたいな形が多かったと記憶しています。
この頃はブックライティングはおろか取材記事すら経験値がまだまだ低かった時期でした。振り返るとひどく稚拙なやり方をしていたと思います(じゃあ今は老巧か、と言われると決してそのようなことはありませんが)。
実用書のライティングをしたこともありました。現在の流通している本を参考に、改訂版を作るという作業です。とはいえ、担当したのは1章程度のみです。
この頃の仕事依頼ルートは、知り合いもしくはリピートのクライアントです。企業ストーリーについては知り合いのライターやコンサルタントから、実用書は機械翻訳のシナリオ作成を手がけたクライアントから「こんな仕事はできますか?」と打診されたものでした。
紙媒体の経験を積む
そのあとは、web中心に仕事をしていました。
一方で、紙媒体の仕事も途切れ途切れに手がけていました。観光パンフレットやリクルートパンフレット、雑誌の記事などです。これを通じて、まったくジャンルは違うものの紙媒体の経験値を上げたように思います。
一度だけ、チームを組んで人事評価の本を作成したこともあります。これは人事評価本を、ほぼ同じ内容ではありますが業界別に6冊分書くという業務です。ディレクションを担当しましたが、このとき改めてディレクションの難しさをしみじみと感じたものです。
この頃の仕事依頼ルートは、知り合いの紹介もしくはサイトからの問い合わせが中心です。
出版社の募集記事を見つけて本格的なブックライティングの世界へ
そして時は流れて2023年。たまたまnoteを見ていたところ、出版社のライター募集投稿を見かけました。
そこで問い合わせた結果、すぐにお仕事の打診をいただき、今に至ります。ここでようやく、丸々一冊書く仕事をご依頼いただけるようになりました。
ブックライティングの仕事の流れ
続いて、ブックライティングの仕事の流れ、私の場合について説明します。あくまで私のしていることで、他の会社やライターはまた違った流れになっているかもしれません。
1.担当者に著者のプロフィールと著書の目次・内容を共有してもらう
まずはこれです。どのような人が、どのような内容の本を作りたいと思っているのかを担当者に共有してもらいます。
共有してもらったら、著者の名前や会社名で検索するなどして下調べを行い、内容に目を通して、どのような話をヒアリングすることになるかを確認します。
2.著者さんに取材(数回)
取材はほぼオンラインです。出版社は東京にあって、私は京都。著者さんは人によっていらっしゃる場所は異なります。そうなるとオンラインが一番便利なんですね。
取材に関しては、私の場合はだいたい出版社の担当者さんが著者さんにインタビューし、私はそれを聞き、適宜追加で質問をするという流れです。
ブックライターによっては自分でインタビューする人もいると思います。もしかしたら、それが主流かもしれません。しかし私の場合、企画段階から著者さんと担当者さんが話をしていてある程度信頼関係ができていて、なおかつ私以上に著者さんとるので、担当者さんが話をしたほうがスムーズという事情もあります。
3.取材音声を文字起こしして原稿作成
取材が終わったあとは音源を共有してもらえるので、それを文字起こしします。そして、原稿を作成。
作成した原稿を担当の方に送って、そこでいったん私の手を離れます。
その後原稿の調整依頼がくることもあれば、こないこともあり。これはケースバイケースです。
ブックライティングの仕事の見つけ方
最後にブックライティングの仕事の見つけ方。
私のきっかけは、たまたまnoteを検索して見つけたライター募集投稿でした。出版社の中にはライターを探しているところもあると思うので、ブックライティングをしたい場合は検索してみるといいかもしれません。
noteに限らず、Googleで「ブックライター 募集」で検索するとさまざまなページが見つかるので、興味がある方は検索してみてはいかがでしょうか。
未経験からブックライターになれるか
私の場合、幸いなことにある程度紙媒体の作成経験があったため、比較的スムーズにブックライティングの仕事もいただけるようになったように思います。
では、ブックライティングはもちろん紙媒体の作成経験すらない場合は、どうなのでしょう?
こればっかりは「出版社による」としか言いようがありません。しかし、web記事であってもある程度ビジネスパーソンに取材し、まとまった文字数の記事を作成した経験があればそれはアピールポイントになるように思います。
事実、私がそうでした。問い合わせたときに「ビジネスパーソンや経営者のインタビュー記事の作成経験がある」と言うと、編集の方が「助かります!」と嬉しそうにおっしゃっていました。
ビジネスパーソンや経営者インタビューできるライターはたくさんいると思うのですが、こういう方と出版社はあまり出会わないものなのでしょうか。
また、ブックライター向けの講座もしばしば見かけますので、こういう講座を受講して基礎を身につけてから挑戦するという方法もあるかもしれません。
とにかく、なりたいなら目指しましょう、やってみましょう。私はそう思います。
ブックライティングの面白さ
本を出す人、著者さんはだいたい面白い経歴や経験、発想をお持ちの方ばかりです。そして、普通に暮らしていたらまず出会うことがありません。
ブックライティングの一番の面白さは、このような人から直接、ナマの話を聞けることです。
文字起こしをして、それを見ながら原稿を作成していくのは決して簡単なことではありません。むしろどれを取捨選択するか悩んで、頭が痛くなるような判断の連続です。
ライティングの仕事はどのようなものでも楽しいものです。そのような中でも、ブックライティングには「自分とまったく違う世界の人の話を聞き、体験を追体験できる」という楽しさがあると感じています。