先日、ライター仲間と「これからライターになる人は、本名かペンネーム(ビジネスネーム)のどちらで活動したらいいか。アイコンは自分の写真かイラストかどちらがいいか」という話をしていました。
そのときに考えたことを、ちょっとまとめておこうと思います。
なお、一言で「ライター」といってもその内容は千差万別なのですが、ここでは基本的に「WEB媒体を中心に活動するライター」と規定しますね。それ以外のライターについては、最後にちょっと言及します。
今回のポイント
私は、「本名×顔出し」で活動しています。
まずは、私の話から。
私は、「本名×顔出し」活動しています。
こうなった理由の最たるものは「時代」です。
私がライターになったのは約20年前。SNSもmixiくらいしかなく、インターネットもまだまだ牧歌的でした。名前を開示するのは仕事相手くらいで不特定多数に好評することはなかったので、本名で活動していてもまったく差し支えがなかった時代でありました。
当時、私はコンテンツ制作会社に所属して、その一員としてライティングを行っていました。その会社が所属ライターの紹介ページを作ることになり、会社の信用を得るためにもきちんと本名で、顔を出して紹介させてくださいという話になりました。それはそうだと納得したので、「わかりました」と本名&顔出しを承知し、その流れのまま、ずっと本名&顔出しで活動を続けています。
SNSなどを始めたときに、ビジネスネームやイラストアイコンに変更するという道もあったかもしれません。ただ、私は、周囲に相談した結果、
・振込先口座の名義が本名がある以上、ビジネスネームで活動していると混乱が起きないか
・本名を出す以上、顔出しのほうが信頼を得るのではないか
と判断して、本名×顔出しを続けています。
今のところ、不便はほとんど感じていません。定期的にプロフィール写真を
※補足すると、Twitter(当時)などのSNSが流行したときは、「本名×顔出しのほうがビジネス上信頼を得やすい」という考え方が大勢でもありました
まず考えるべきは、どのようなライターになりたいか
名前とアイコンの組み合わせは、以下の4つのパターンがあります。
・本名×顔出し
・本名×非顔出し
・ビジネスネーム×顔出し
・ビジネスネーム×非顔出し
このうち、どのパターンがふさわしいかについては、「どのようなライターになりたいか」でしょう。
いつかインタビュー取材もしたいなら、「本名×顔出し」がベスト
個人的な考えなのですが、いつかインタビュー取材も行うようなライターになりたいなら、「本名×顔出し」がベストでしょう。
少なくとも「実在するであろう人の名前×顔の特徴がわかるアイコン」は必須だと思います。
取材は、どのような立場の人にするかわかりません。中には経営者など、それなりの社会的地位がある人にインタビューを申し込むこともあります。
このとき、「つるちゃん@WEBライター」という名前でアイコンが犬の写真のライターから申し込まれるのと、「鶴原早恵子」という名前で自分の顔をアイコンにしているライターから申し込まれるのと、どっちが好印象を与えられるでしょうか。
取材もするライターになりたいなら、繰り返しますが、ベストは「本名×顔出し」、少なくとも「実在するであろう人の名前のビジネスネーム×顔の特徴がわかるアイコン」にして、相手に信頼感を持ってもらうことは必要だと思います。
SEOライターなら「なんでもいい」
とはいえ、基本的にライターの名前とアイコンは「なんでもいい」と私は思っています。実際、「つるちゃん」とか「さえぽん」みたいなゆるい名前と動物やイラストなどのゆるいアイコンで活動している、そして稼いでいるライターさんは多いです。
SEOみたいな、完全に自分の名前は表に出ない仕事を中心にやっていくなら、それでいいでしょう。本名はクライアントだけに開示し、SNSなどでは一切素性を見せない、そういうのもありです。そういう人もたくさんいます。
書きたいメディアがあるなら、ライター欄を参考にする
「いつかはこういうメディアで書きたい」という憧れのメディアがある場合は、そのライター欄などをチェックすると参考になるでしょう。
ライターは、どのようなライターになりたいか自分で考え、キャリアを積み立てていき、自分を売り込んでいかなければいけません。将来的にビジネス系のメディアに営業をかけたいと思っているなら、ビジネス系のメディアで採用されるような活動を積み上げていく必要があります。
もちろん、重要視されるのは記事の制作実績です。しかし、メディアによっては、最初にお話ししたコンテンツ制作会社のように「本名&顔出しでないとダメ」というところもあるでしょう。
そこで、「こういうメディアで書いてみたい」と思っているメディアのライター欄を見ておけば「なるほど、このメディアは本名か、少なくとも本名っぽい名前のほうがよさそうだ」「アイコンについては似顔絵でもよさそうだな」という ように、参考になるのではないかと思います。
ゆるいビジネスネーム×非顔出しは信用されにくい?
ゆるい名前で非顔出しだと信頼されにくいと思われがちですが、私はライター(クリエイター)についてはそういうことはないと思います。
なぜなら、クリエイターにとっては成果物がすべてだからです。
それに、クラウドソーシングサービスやココナラなどを見ると、ゆるい名前と非顔出しで活動していて、稼いでいるライターの方もたくさんいらっしゃいます。
繰り返しますが、自分が将来どういうライターになりたいかを考え、そして、目指すライターはどういう組み合わせで活動しているのかを参考にして、自分で決めるのが一番です。
「本名×顔出し」と個人特定リスク
ただし、「本名×顔出し」には個人特定リスクがあります。そのため、不特定多数に個人を特定されるような情報を出したくないという人もいるでしょう。
私の知っている人の中にも、当初は「本名×顔出し」でしていたけれども、個人特定されてストーカーが生まれたので「ビジネスネーム×非顔出し」に切り替え、特定されるような情報はすべてSNSやブログ、ネットに出さないようにしているという人もいます。
特に近年は、ちょっとしたことで炎上したり誹謗中傷を受けたりするリスクがありますから、極力リスクを下げたいという人もいるでしょう。女性の方や、男女問わず小さなお子さんがいる方(親が特定されると子も特定されます)などは、個人特定されるのは嫌だという人がいるのは十分理解できます。
その場合は、本名を避け、ビジネスネームを使うといいでしょう。
非本名×非顔出しで個人特定リスクを下げるときに気を付けたいこと
確かに、非本名×非顔出しは個人特定のリスクは下がります。
が、非本名×非顔出しなら個人特定のリスクはゼロ、というわけにはなりません。
個人特定リスクを避けたいなら、SNSやブログなどで発信する情報内容にも配慮が必要です。窓から見える風景から自宅を特定されたり、SNSにアップする写真から行動範囲を特定されてそこからさらに個人情報掘られたり……ということもあります。
よくTwitter(X)でも「ゲリラ豪雨すごい!」みたいな一言でも、その時間にゲリラ豪雨が降った地域を調べることで家がある地域がある程度特定できる、と言われますね。雪が降ったとき「雪がこんなに積もった!」と窓から写真を撮っても、そこから特定されることがあります。
個人特定リスクを下げたいなら、非本名+非顔出しだから安心と考えるのは早計でしょう。
使い続けられる名前かどうかも重要
本名にせよビジネスネームにせよ、ひとつだけ確かなことがあります。
それは、ライターを続ける限りその名前を名乗り続けなければいけないということです。
「本名や顔は出したくない。私は猫が好きだから、アイコンは猫で名前は『にゃんご』にしよう!」と決めたとして、営業や打ち合わせ、取材などの場でずっと「こんにちは、ライターのにゃんごです」と名乗り続け、呼ばれつづけないといけないわけですよ。
年齢が若いうちはそれでもいいかもしれませんが、たとえば40代、50代みたいな年齢になってもそれを名乗り続けなければいけない可能性もあるわけです。
もちろん、途中で名前もキャリア(路線)も変えるなどすることもできます。古いかもしれませんが、私は同じ名前で、コツコツ実績を積み立てていくほうが好きなので、できればずっと同じ名前で活動したほうがいいのではないかな、と考えています。
ビジネスネームを決めたら検索する
本名にせよビジネスネームにせよ、どう名乗るかを決めたらまず名前を検索しておきましょう。同じ名前の人がいるかいないか、いた場合はどんな人かというのを見ておくといいと思います。
同じ名前のライターがいたら紛らわしいですよね。また、過去に炎上した人やあまり良くない評判の人と同じ名前だったら誤解を招きそうです。「これはちょっと困るかな」という結果が出てきたら、その名前はやめておいたほうがいいかもしれません。
名前と顔出しをどうするかは、複数の視点から考よう
なんとなく「本名×顔出し」で仕事始めてしまった私がいうのもなんですが、名前と顔出しをどうするかはいろんな視点から考えるべきでしょう。
自分はどうありたいかを軸にいろんな点から考えて、納得いく選択をしてください。