ライター・木村俊介さんのインタビュー光景を見て、自分のやり方を見直してみた

ライター・木村俊介さんのインタビュー光景を見て、自分のやり方を見直してみた

今、東京のミシマ社さんがやっている「取材入門」という講座を受講しています。

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ミシマ社の本屋さんショップ

【6-7月】木村俊介さんオンライン講座「取材入門」(全8回分)チケット 

こちらの講座にて、前回、講師であるライターの木村俊介さんが、京都の書店・誠光社の店長である堀部篤史さんにzoomでインタビューされる様子をナマで見る機会がありました。

今回は、それを見て改めて思った取材のやり方やコツについてのお話を。

今回のポイント

  • 取材時は相手の言葉・話に没頭する
  • 取材音声を聞き直すことで、多くの発見ができる
  • 先入観・決めつけを排し、話を聞くことが大事
  • 取材時は、相手の話の中に入り込んでいることを全身全霊で示す

    木村さんのインタビューの様子を拝見して気づいた最大のポイントは、とにかく、相槌や合いの手が少なめのであること。「はい」「そうですね」「ええ」などの短い言葉が中心。まとまった言葉を挟むのは、堀部さんが口を閉じたときだけ。堀部さんが話している間は口をはさまず、じっと話を聞いています。そのかわり、すごく大げさなくらいに頷く。

    対象的に、質問は長め。それまで堀部さんがお話されていたことを端的にまとめ、それに対する自分の意見を簡単に話し、それから堀部さんに先を促すような質問をされる。このメリハリがとにかくすごくて、「ほー」と思いながら見ていました。

    あと、今回はzoomを使ったリモートインタビューだったのですが、とにかく堀部さんをじっと見つめている。メモも取らずに、ずっと注目してお話をきいていらっしゃる。

    その結果、木村さんはとてもくりっとした目の方なのですが、その目から、顔から、全身から「あなたの言葉をしっかり聞いていますよ」というオーラがめちゃくちゃ出ているんですよね。堀部さんの話の中にぐっと入り込んでいるのが画面越しにもわかるんです。

    あーそうだ、これだ。相手の話にぐっと入り込む、こういう姿勢が大切なんだ、と改めて思いました。

    取材時のメモは取る?取らない?

    取材時のメモの取り方というのはライターによって千差万別。そしてまた、インタビューされる側も考え方は千差万別です。そのため、正解というのはありません。ライターが10人いれば、10通りのやり方があると思います。

    今回の木村さんは前述のようにまったくメモを取らなかったのですが、この方法は取材相手のジャンルによってはもしかしたら不快感を抱かせる方法かもしれません。というのが、ビジネスパーソンの方は、話を聞いているときにメモを取っていないと「真面目に聞いていない」と考える人も少なくないんですね。だから、相手によってはメモを取りながら聞く姿勢が大事になってくると思います。

    私のやり方を軽く紹介すると、以前は、それこそメモ書きだけで原稿書けるくらい細かくメモを取っていました。しかし、最近はキーワードや「ここは盛り込まなければ」という点を備忘録程度にメモするだけにとどめています。また、場合によっては相手から視線を外さず、手元を見ずにメモすることもあります。

    なぜそういうことをするかというと、メモを取るという動作で話に水を差したくないからなんですね。気持ちよく話していただく、そのために相手の気に障らない程度の最低限の動作でメモを取りたいと思ったからなんですそのかわり、電話取材などの相手からこちらが見えない取材のときは比較的しっかりメモを取ります)。

    今回の木村さんのインタビューを見ていると、もしかしたら、メモを取る取らないというのは本質的な問題ではないのかもしれない、と感じました。大切なことは、相手の話への没入感、聞いていますよと全身全霊をかけて伝え、相手に気持ちよく話していただくことなのではないか、と。

    それを抑えた上で、メモを取るかどうかは適宜判断していったほうがいいのかもしれません。

    ※なお、当然録音は必須です。もし録音がNGだった場合は、死ぬ気でメモ取りましょう。そうでないと記事が書けません。

    文字起こしは効率を求めないほうがいい場合もある?

    続いて、文字起こしについて。私の文字起こしのやり方はここで紹介したとおりなんですが

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    インタビュー時の音源文字起こしを自動化したい!と無料&有料ソフト、AmazonTranscribeを試してみた結果

    取材・インタビューライターにつきものの作業のひとつ、文字起こし。なんとかこの作業を省力化しようとしている話をまとめました。有料ソフトやAmazon Transcribeを試した感想も。

    私はどうしても、耳で声を聞いて、それを自分の手で入力しないとできません。ライター仲間の中には、音声を聞いて自分で喋って音声入力で起こすという人もいるのですが、それがどうしてもできない。それをずっと、非効率的だなあ、嫌だなあ、なんとかしないとなあと思っていたんです。

    だけど、インタビュー後の木村さんへの質問コーナーで、こんな話が出てきたんですね。

    「録音を聞きなおして文字起こしすると、またいろんな発見が、そのときの何倍もある。空気感も再発見できる」

    以前、プロライター大阪道場でも、ゲスト講師にいらっしゃったライターの杉本恭子さんが、丁寧に文字起こしをするという話をうがったことがあったのですが、それを思い出しました。

    私は効率的で、楽な文字起こしをしたくていろいろ考えていたけれども、実は音声を聞き直して、自分でちゃんと文字にするからこそわかるものもあるのかもしれません。

    もちろん、木村さんや杉本さんのようなインタビューと、私がやることが多いビジネス系のインタビューを一緒に語るのはおかしいかもしれません。そういう空気感を大切にした記事というより、話したことの要点をしっかりまとめてわかりやすい文章にする場合は、効率を求めたほうがいいのかもしれません。1回の取材で、10~15分間程度のインタビューを10人近い人数に行うというようなときは、きっとそうでしょう。

    だけど、こういうじっくり話を聞いて記事にする時には、じっくり文字起こしをすることも大切なのかもしれない、と思いました。

    正直な話を引き出すためには「決めつけ」を避けるべし

    最後の質問コーナーでは、堀部さんも少しお話をされたのですが、そこで印象に残ったことをひとつ。

    堀部さんは、もとは京都・北白川にある書店「恵文社」の店長だった方。その後独立されて、ご自分のお店として誠光社を立ち上げられました。いろんなメディアにも登場されている方なので、もしかしたらこのブログを読んでいる方もご存知かもしれません。

    いろんなメディアに取材された経験から、堀部さんは「最初に『決めつけ』がある人は質問が偏る」とおっしゃいます。実際、新聞やテレビなどの大きなメディアの中には、最初から「こうに違いない」というような決めつけをして取材に来ることもあるそうで、そうなると取材対象は気持ちよく話せないし、正直な話を引き出すことはできない、と。木村さんにはそれがないから話やすい、と。

    「決めつけ」というのは本当に難しい問題で、これはどうしてもある程度は避けきれないものではないかと思うんですね。というのが、取材前って取材対象についてある程度調べるわけじゃないですか。そうなると、どうしても「わかった気」になってしまうんですね。そして「わかった気」になっていると、大なり小なり「決めつけ」が生まれてしまうんです。

    たとえば「こういう状況になったのはこうだからではないか」「こういうことを考えてこういうことをしたんじゃないか」みたいなことは、ライターなら多かれ少なかれ思っているんじゃないかと思います。

    だけど、こういう決めつけは、持ってしまったとしてもそれを表に出してはいけないことなのでしょう。

    だって、あなた、自分でも自分のこと全部わかっていますか? わからないこともあるでしょう? 「自分でも、なぜこういうことをやってしまったのかわからない」ってことありませんか?

    自分だって、自分のことを完全にはわかっていない。それなのになぜ、ほとんど会ったこともない、ちょっと下調べしただけの相手についてわかったように思い込んで決めつけるなんて、ちょっと傲慢すぎるし、そんな決めつけに基づいて話を聞こうなんて、失礼すぎやしませんかね?

    結論:相手の話を誠実に、熱心に聞くことが重要!

    インタビュー時には、相手の話を没頭して聞くことが大事。そしてそのためには、相手に誠実に、先入観なく(これは下調べが不要ということではありませんよ!)接する必要がある。

    木村さんのインタビュー風景を見ていると、こんなことをしみじみ思いました。本当にいい刺激を受けました。次の取材時にはあれを活かそう、これを活かそうと今からわくわくしています。

    About This Author

    鶴原早恵子
    京都在住フリーライター。SEO記事から取材・インタビュー記事まで作成。取材可能範囲は関西中心に、全国・リモートも対応いたします。鉄道・お出かけ系記事の場合は写真も自分で撮影可能。鉄道好きなのに乗り物酔い体質なのが悩みのタネ。