ライターが撮る写真は「記録写真」でいい

ライターが撮る写真は「記録写真」でいい

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取材で写真を撮ることもあるのですが、私の写真の腕はけっしてよくありません。そこで、一応仕事で撮る以上少しは上手に撮れたほうがいいかと思い、最近は神戸の「波止場の写真学校」に通って写真の勉強をしています。

初心者向けのビギナークラスを終えて、今はそのステップアップコースであるアドバンスクラスに在籍しているのですが、講座内で最近気づいたことがあったので今回はそれをまとめておこうと思います。

>> そもそもライターは写真が撮れたほうがいいのか?という問いの答えはこちら

今回のポイント

  • 写真には「記録写真」と「アート」がある
  • 取材で撮る写真は「記録写真」
  • きちんと記録を残せる程度の写真・カメラの知識とスキルを持っておこう
  • 記録写真とアート写真

    写真には「記念写真」とアートがある

    先日の「波止場の写真学校」の講座で「写真には大きく分けて2つの種類がある」という話が出ました。

    ひとつは、その場の様子をありのままに切り取る「記録写真」。そしてもうひとつは、撮影者の内面や思いを表現する「作品・アート」です。

    もちろん、この2つが明確に分けられるとは限らないでしょう。しかし、私たちライターが取材で撮る写真は明らかに前者です。

    たとえば新型車両の報道公開を取材に行ったとして、私が撮るべきは新型車両の特徴が良くわかる写真です。中井精也さんが撮るような情緒たっぷりの鉄道写真ではありません。なお、あくまでたとえとして名前を出しただけで中井精也さんの写真は大好きです。

    インタビュー相手の写真を撮るときも、必要なのはその人だとわかる写真です。篠山紀信さんが撮るような作家性の高い人物写真ではありません。なお、あくまで例に出しただけで篠山紀信さんの写真は大好きです。

    ライター仲間が「自分が撮る写真は、ここに行きましたよ、これを見ましたよ、この人に会いましたよ、という証明写真だから」と言っていたことがあったのですが、まさにそのとおり。

    つまり、少なくともライターが取材時に撮る写真については、センスはあまり関係ありません。センスではなく、抑えておくべきカットをきちんと抑えた撮影です。

    具体的には、新車両の報道公開なら、車両の外観、内部、シート……など、こういった報道公開記事でよくある定番カット。これがピンボケなどなくきちんと撮れていたら、それで十分です。

    記録写真だからといって適当はよくない

    記録写真だからといって適当はよくない

    とはいえ、「記録写真でいいから」と言って、適当に撮影していいわけではありません。最低限の技術やスキルは必要です。

    具体的にいえば、ピンボケや、あまりにも色合いが違いすぎる写真などはNGです。何を撮ったのかよくわからない写真もNGでしょう。

    そこで、意識しておきたいポイントを2つ紹介しておきます。

    どのような写真が必要かをまず考えておく

    まずは、どのような写真が必要かを考えておかなければいけません

    インタビュイーの写真を撮る場合、引き、アップ、インタビュー中の様子、場合によっては社屋や会社のロゴをバックに笑っているバストアップショットなどが必要でしょう。

    これは、掲載メディアの過去記事などを見ればどのような写真が必要かがわかるはずです。インタビュー取材で写真も撮らなければいけない場合は、かならず過去記事を見て「どのような写真を撮っておけばいいか」を考えておきましょう。

    カメラの基本的な設定を理解しておく

    最低限、ピントの合わせ方、明るさの調整などは理解しておかないといけません。

    そうしないと、ピントが合っていない、黒すぎる、明るすぎる写真を撮ってしまいます。

    このあたりはオートモード(カメラが自動的に明るさなどを調整してくれるモード)に設定しておけばなんとかなるので、最低限自分のカメラのオートモード設定方法は理解しておくといいでしょう。

    カメラの取扱説明書には、巻末に索引があるはずです。そこから「オートモード」を検索してみてくださいね。

    写真の基本的な構図を理解しておく

    構図の話は非常に深いので、写真については素人の私が偉そうに語れるものではないのですが……

    少なくとも、日の丸構図や三分割構図などの定番の構図は理解しておいたほうがいいでしょう。インタビュー写真を撮るとが多い場合は、串刺しや首切りなどのNG構図があるので、これにも注意が必要です。

    このあたりは検索するとすぐに出てきます。入門書を1冊買って読んでおくのもいいでしょう。

    ただし、ジャンルによって求められる写真のレベルは違う

    ジャンルによって求められる写真のレベルは違う

    ただし、扱うジャンルによっては求められる写真のレベルが異なることに注意してください。

    旅行やグルメのようなジャンルでは「映える」写真が重視されます。この場合は単なる記録写真では足りないかもしれません。ちょっとでも「映える」、あるいはアート性の高い写真が撮れるように考えたほうがいいでしょう。

    そうなると、たとえば構図やライティング、色使いなどもより意識する必要が出てきます。少し深く写真を学んだほうがいいかもしれません。

    写真のクオリティを高めるために普段からできること

    写真のクオリティを高めるために普段からできること

    どのような写真を撮るかを考えておき、オートモードで失敗が少ないようにして、基本的な構図を抑えておけば写真はなんとかなります。

    それでも、写真のクオリティを少しでも高めたいと思うなら、普段から意識しておけばいいことが2つあります。

    撮りたいジャンルの写真をたくさん見る

    まずは、撮りたいジャンルの写真をたくさん見ることです。

    これは、写真集を見たり写真展に行ったりしましょうというわけではありません。インタビュー取材で写真を撮ることが多いなら、インタビュー記事をたくさん読みましょう。お出かけや旅行系の取材で写真を撮るなら、お出かけ系や旅行系の雑誌やメディアの記事をたんさん読みましょう。

    そして、その記事に使われている写真をたくさん見ましょう。

    そうすると、「なるほど、この記事にはこのような写真を使うのだな」ということがなんとなくわかってきます。わかってきたら、自分が写真を撮るときもどのような雰囲気で撮ればいいかがイメージできるはずです。構図のバリエーションなども増えるでしょう。

    枚数を多く撮る

    とにかく数をこなすことも大切です。カメラの操作に慣れて、どのような写真が撮りたい場合はどう撮ればいいかを身につけていくといいでしょう。場合によっては背伸びして上から見下ろすように撮ったり、しゃがんで下から見上げるように撮ったりして、どう撮ればいい感じで写真が撮れるのかを考えます。

    取材でも極力多くの写真を、構図などのバリエーションをつけてたくさん撮っておくことをおすすめします。特にインタビュー取材の場合はひたすら連写して、インタビュイーが少しでもいい表情をしている一瞬をきちんと撮れるようにしておきましょう。

    取材ライターとして最低限の写真スキルは身につけておこう

    取材ライターの写真は、アート作品である必要はありません。目の前にあるものをそのまま撮れれば十分なので、フォトグラファーレベルの写真の腕はなくてもいいかもしれません(そもそも、そのような腕があればフォトグラファーとしても収入が得られます)。

    写真学校のビギナークラスからアドバンスクラスに進み、カメラや写真について学んでいると、私は「ライターの写真にここまでのレベルは求められないことが多いんじゃないかな」と思うことがしばしばあります。

    しかし、「あるものをそのまま撮る」にもある程度のスキルや知識は必要です。取材ライターとして最低限の写真スキルは身につけておくことは、けっしてマイナスにはならないでしょう。

    私のように写真教室に通う必要はないかもしれませんが、少なくとも、ある程度の写真やカメラに対する知識やスキルはつけておくことをとすすめします。

    さて最後に、別記事でも紹介しましたが、おすすめの写真初心者向けの本を2冊紹介しておきます。私は中原さんの本で基本を学びました。神戸の「波止場の写真学校」では鈴木さんの本をテキストとして使用しています。

    About This Author

    鶴原早恵子
    京都在住フリーライター。SEO記事から取材・インタビュー記事まで作成。取材可能範囲は関西中心に、全国・リモートも対応いたします。鉄道・お出かけ系記事の場合は写真も自分で撮影可能。鉄道好きなのに乗り物酔い体質なのが悩みのタネ。

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